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2006年8月22日 (火)

「最後の弾丸」というドラマを見ました

先週NHKのBSハイビジョンで放映していた「最後の弾丸」という単発ドラマをネタバレ全開で紹介します。この時期こういった映画やドラマ、ドキュメンタリーの放映が増えますよね。これ、終戦間際の戦時下のボルネオ島を舞台にした、オーストラリアの新兵と玉置浩二演じる旧日本軍の狙撃兵の物語です。製作は10年ほど前で、何度か放映されてます。劇場公開ものではないのでDVD化されているかは不明ですが、うちの近所のツタヤにはビデオがありました。

【2010/12/8追記】

今月28日のBS-hiでの放送があるせいか、今月に入りこの記事のヒットが増えています。yahooの知恵袋にもリンク張られているようですし(回答者は私ではありませんが)。

とても素晴らしいドラマなので是非ご覧になって欲しいと思いますが、初めて見るつもりの人は以下のネタバレ全開の記事は読まずにこのページを閉じることを強くお薦めします。

 

 

 

 

 

 

敗色濃厚な日本軍はバンザイ攻撃を繰り返し玉砕を重ね、オーストラリア軍はそれの掃討をしていました。生き残った主人公の狙撃兵、山室は義弟(妻の弟)の田中とジャングルの中を逃げ延び、遭遇したオーストラリアの小隊と交戦、これを狙撃、射殺していきます。本土で米軍機の機銃掃射で妻と娘を亡くしている彼は、撃つ前に妻の遺髪を額にあて祈りをささげる儀式をし、一切の感情を排除し、一人一人を正確無比な射撃で倒していきます。

唯一生き残ったのは新兵で初めて戦場にやってきたスタンレー。取り残された向かい合う塹壕に双方は立てこもり、共に少なくなった弾丸で戦います。戦いのさなか田中が戦死、入れ替わった塹壕でその遺体に出くわしたスタンレーは遺体を埋葬してあげました。

そして日が明け、二人はいよいよ塹壕を出て地雷の敷設された草原で一騎打ちとなります。しかし、スタンレーの目に入ったのは、数日前に豪軍キャンプを訪れお守りとチョコレートを交換した地元の少女が椰子の実を取りに無邪気に近づいてくる姿でした。

彼は逡巡した後、残った2発の弾丸を地雷原へ撃ち、地雷を誘爆させてその所在を少女に知らせようとします・・・が、射撃の腕が足りず失敗。弾を撃ちつくした彼はM1カービン銃を放り投げ、さばさばとした表情で山室をまっすぐ見つめます。

「罠か・・」といぶかりつつ「最後の弾丸」をライフルに送り込み、彼の額に照準を合わせる山室。その時、少女が視界に入り、山室はスタンレーの意図を瞬時に理解します。その少女が亡き娘のシルエットと重なり、次の瞬間には・・・、山室も反射的に地雷原へ射撃していました。

一発で地雷を爆発させ、少女に存在を気づかせ命を助けました。

その間に周囲はもうオーストラリア軍に包囲されています。「降伏するんだ」というスタンレーの言葉を無視し、山室はスタンレーに敬礼をした後、刀を自分の首に切りつけその場に倒れます・・・。

 

涙腺がゆるみまくったところで話はここまでなのかな、と思いきや舞台は50年後、日豪双方の関係者が集まった「ボルネオ戦50周年式典」に飛びます。戦死、ないし帰還した双方の兵士達の写真が壁一面に貼られ、生き残った者達が旧交を温めあう穏やかな会場。老スタンレーはそこで、自分の若き日の写真の前にたたずむ、首に大きな傷のある老人と邂逅します。

「あなたは・・・」

「はい、ヤマムロ、です」

そこにいた山室の孫を通訳に、二人はぎごちなく、でも固い握手をします。スタンレーは田中を埋葬するときに田中のポケットから抜き取っていた田中、山室夫妻の写真を山室に返し、山室は写真の礼、妻の弟を埋葬してくれた事の礼を述べます。

老いた二人の最後の台詞が最高にかっこよくて、ここまでで涙腺決壊してたんですがトドメをさされましたよホント・・。

「すみません、私には何も、あなたに与えられるものがない・・。」

「では、あちらで一杯、おごってください。家族に紹介します。」

「喜んで。でも、ご家族にはなんと?」

「旧い戦友とでも言いましょう」

 

 

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